裏口モデル講座

超重要!仮モデルのいろは

2022年8月9日

皆さまはモデルを一体仕上げる時に、どんなワークフローを取っていますか?

「モデルの完成までに必要な工程を一つずつこなしていけば、普通に完成するのでは?」
そう考えたあなた、実はその進め方、とっても損してるかも?

実はプロの世界では、通常モデルの完成までに各工程を二周します。

…恐ろしい話ですが本当です。
そしてその一周目で作成するのが、この記事で説明する仮モデルなのです。

この仮モデルをきちんと作るかどうかが、
プロとアマチュアモデラーの最も大きな違いと言っていいほど。

この記事ではそんな仮モデルについて、
存在意義から作成の際の注意点までがっつり説明していきます!

ちなみに今回説明に利用したモデルはこちら!

VRC 対応3Dモデル】うさこVRC ver1.00

興味のある方はぜひご確認くださいませ!

 

 

仮モデルってなんだろう?

では、それほど重要だという仮モデルとは、一体何なのでしょうか?

それは、バランスとシルエットを確定させるためのモデルです。

ここで決定した関節の位置やモデルのシルエットは、
基本的にモデルの完成まで変更することはありません。

恐ろしいことにキャラモデルの命である二つの要素がここで確定してしまうため、
もはや完成度そのものが仮モデル段階で7割くらい決まってしまいます

大手のスタジオでも、仮モデルは社内や国内の信頼できるモデラーに任せると言えば、
重要さも伝わりやすいでしょうか。

大きな変更をしやすい仮モデルの状態で納得がいくまで調整を行い、
完成像が定まったところで細部を詰めていくことで、
少ない手数と時間で高品質なモデルを作ることができるのです!

上記のように自分一人での制作でも大切な仮モデルですが、
特に一緒に誰かと進めていくプロジェクトでは必須になります。

昨今はスマホですらハイエンド化が進み、そこで扱われるモデルたちも、
たった一体を実装するまでに多くの工程が必要になります。
そこで、出来る限り早く実際に動かしたところを確認したり、
仮の組み込みを行うために仮モデル状態のモデルを利用するのです。

たとえば仮モデルに仮のリグコントローラーと仮アニメーションをつけて、
仮の実装を行えば、モデルの完成を待たずに他のセクションが
作業を進めていくことが出来るようになりますよね。

また、他セクションとのやり取りが薄いVTuberさんのモデルを作るような案件でも、
クライアントと素早くモデルの方向性を確認するために仮モデルは欠かせません

このように仮モデルは、実はキャラモデラーにとって避けては通れない、
超重要な工程のひとつなのです!

 

 

仮モデルができるまで

仮モデルそのものの説明が終わったところで、
早速その作り方を見ていきましょう!

順番通りに工程を仕上げるやり方だけでモデリングをしてきた人にとっては
慣れない部分もあるかとは思いますが、一旦慣れれば手放せない工程ですよ!

 

なんでもあり!仮モデリング!

まずはいつも通りモデリング…ではなく、
とにかく最速で、全体のシルエットが出るように作りましょう!

この時仕様は一旦気にせず作ってOK

スカルプトでハイポリゴンのモデルをざっくりと作り、
ギリギリ実機で動かせるように自動で減ポリしたものでも良し。
逆にシワの少ないスカートなんかはとってもローポリでも良し…。

仮モデルはとにかく素早く完成像を捉えるためのものなので、
本モデルのメッシュと全くトポロジーが違うものでも良いのです。

ただこの時点で、マテリアルでの色分けで大丈夫なので、
大まかな色をメッシュに設定してあげましょう。

それだけでもかなりバランスが見やすくなるのでオススメですよ!

 

なにはともあれ仮骨入れ!

さて、モデルをざっくりと作ったら、なるべく早く骨を入れましょう!
というより、モデルの要素がまだそろっていなくても、
とりあえず全身のバランスが見えるようになった時点で入れましょう。

なぜって、モデルのシルエットやバランスは、
TポーズやAポーズだけで確認するのがとても難しいからです。

そして、完成したモデルを見るユーザーの皆さまには、
TポーズやAポーズの見た目など全く関係がないからです。

実際にはイケてるポーズやアニメーションがついてリリースされるモデルを、
モデラーだけがなんとなくバインドポーズで作り上げても仕方がないですよね。

骨入れといっても、仮モデルの時点では揺れ骨や補助関節は基本的に必要ありません
ウェイトもモデルの形状が崩れない程度のもので問題ないので、
とにかく全身モデルと骨をそろえて動かせるようにしていきましょう!

注意ポイント

実は、仮モデル時点で揺れ骨等が必要になるケースも存在します。
ケープなど、リギングがとても難しい構造がモデルに含まれている場合です。
この場合、仮モデル時点である程度目途を立てておかないと
本モデルで大変な苦労を要することにもなりかねないので注意しましょう…!

 

調整に役立つmelや具体的な調整法については以下の記事にて詳しくお話しております。
よければこちらも併せてご活用くださいませ!

 

 

確認に必須!仮アニメーション!

次は、プロポーション確認用のアニメーションを作っていきます。

アニメーションといっても、細かなウェイトの調整も今は必要ないので、
単純にいくつかのポーズを再生するだけのもので大丈夫!
オススメのポーズがいくつかありますので、GIF動画と一緒に確認していきましょう!

【素立ち】
腕を降ろして少し足を開き、なんとなく立っているような体勢です。
腕の長さや胴・脚とのバランスを確認しやすく、真っ先に確認したいポーズの一つです。

【決めポーズ】
そのキャラクターやクリーチャーの決めポーズです。
モデルの出来上がりの雰囲気が分かりやすく、チェッカーにも伝えやすくなります。
完全なオリジナルの場合は、お好きな写真やイラストを参考にしてみましょう。

【座り】
意外と見過ごしがちな、椅子に座っているときのポーズです。
胴体に対して脚が長すぎる場合、座ると急に頭身が下がった…?となりがち。
表現したい等身にブレが出過ぎないよう、このポーズで調整を行いましょう!

【中腰の構え】
片手剣キャラなどでありがちな、中腰の姿勢です。
これがしっかりきまっていると、腰から足先までのバランスにも安心できます
股と尻の位置関係が悪いと腰回りが不安定になるので、きっちりチェックしましょう!

【握り込み】
手を握り込んだ状態です。
手の比率は非常に難しく、いろいろ動かさないとバランスがとれません。
特に握り込む動きが綺麗に仕上がっていれば、それなりに色々な動きができるでしょう。

 

 

ちなみにMayaではSキーを押すことでキー打ちができるのですが、
初期設定ではなぜか移動回転拡縮など全ての項目にキーが打たれてしまいます

このままでは後述する調整の際に骨の修正がめちゃめちゃしにくいので、
骨の回転値だけにキーを打てるように設定を変更しておきましょう!

AnimationのKeyタブからSet Keyのプロパティを開き、
Set keys onの項目をCurrent manipulator handleに設定します。

この設定がないとVisibilityにすらキーが打たれてしまい大変面倒なので、
本当に忘れずに設定しておきましょう!

※Twitterにて@WARPSTAR15さんより個別に打つショートカットを教えていただきました…!

Shift+W,E,Rそれぞれを押すことで、個別にキー打ちができるそうです!
体型変化を骨で行う場合など、移動や拡縮にも頻繁にキーを打つ際にはぜひご活用ください!

 

顔や模様は仮テクスチャ!

アップで見られることが多い顔や大きく模様の入った布など、
本モデルに移行する前にテクスチャでバランスを確認したい部分は、
仮モデル時点で仮のUVを開いてテクスチャを設定しましょう!

三面図やイラストがある場合は利用したい部分を正方形に切り抜いて
仮のテクスチャに使えますし、そういったものがなくても、
3Dペイントでざっくり描き込んであげるだけでも見え方が変わります

 

 

じっくり調整!大胆に修正!

仮テクスチャまでの工程を終えたら、仮モデル完成!

…ではなく、仮モデルの作業はここからが本番です。

ここまでの工程は可能な限り手早く済ませて、
ここからメッシュや骨位置をどんどん調整していきましょう!

 

DCCツールで見る

作成したアニメーションで確認しつつ、メッシュと骨を調整します。

この時、フラットライト表示にすると、特にノンフォト系のモデルは
バランスやシルエットを確認しやすく便利ですよ!

Mayaなら画像の通り、LightingタブのUse Flat Lightingで。

Blenderなら右上タブのLightingをFlat、ColorをTextureにすることで確認できます。

ポーズを付けた時の頭身は、四肢のバランスは、シルエットはどうか?
顔や髪は斜めから見た時も印象が崩れないか?

懸念材料はできるだけこの時点で潰しておきたいところ。

完成像が見た人にもしっかりと伝わるように
焦る気持ちを抑えて精度の高い仮モデルを目指しましょう!

 

実機で見る

ゲームはもちろん、自作モデルやアバター、VTuberさんのモデルでも、
ある程度バランスとシルエットが取れたら実機に持っていきましょう。

指定のゲームエンジンや利用予定のアプリでは、
DCCツールとはかなり違った見え方をすることがあります。

可能な限りで仮の実装を行い、ユーザーが一体どんな風にモデルを見るのか
モデラーもきちんと確認しておきましょう!

 

 

さいごに

いかがでしたでしょうか?

「工程が多く、かつ調整にも時間を割くとなれば時間も手間もかかりそう…。」

そう思われた方も多いかもしれません。

ですが慣れていくと、単純な人型モデルなら5日以内で十分完成するようなものです。

2万ポリゴン以下、ベースカラーのみといった旧来型のモデルでしたら
仮モデルの工程はそこまで必要にならないこともありますが、
それでも素早く骨・アニメーションを入れて確認を行うやり方は大変有用です。

皆さまもぜひ、より時短で、より高品質なモデルを作るために、
仮モデル作成をマスターしてみてくださいね!

 

ちなみに、
「バランスを取れ、シルエットを決めろと言ったって、実際何が良い状態なの?」
という方のために、今後そういった内容のまとめ記事も作成する予定です。

ちょっと上級者向けの内容も含まれているかもしれませんが、
意識すればワンランク上のモデルが作れる内容ばかりを厳選しますので、
ぜひぜひお楽しみに!

 

それでは皆さま、良いモデリングライフを!

 

 

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