前回の記事では、モデリングの道すじ、ワークフローについてお話ししました。
モデリングは時間のかかる作業。
ワークフローを理解することで、短期間で完成度を上げられると良いですよね!
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前回の記事3Dモデル基本のき④ ~モデリングの道すじ~
前回の記事では、ついにはじめてのモデリングに取り組みました。 3Dの作成ソフトは2Dのソフトと比べても操作が複雑ですが、 簡単なものを作ることで少し操作に慣れることが出来たのではないでしょうか? &n ...
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今回はモデリングのワークフローを踏まえて、
脱初心者のための上達法をお伝えしていきます!
ここでの「初心者」とは、まだ好きなものをモデリングするのに手の付け方も分からず、
上達のために何ができるのか、何をしたら良いのかが分からない方を指しています。
この「初心者」の段階が、一番苦しく挫折の多いところ…。
上手に、そして素早く乗り越えて、ぐんぐん上達できる領域に突入しましょう!
練習にご利用いただけるモデルや三面図データの無料配布も行っておりますので、
そちらも是非ご利用くださいね!
目指せ最速!脱初心者!
早速本題に入りましょう。
出来る限り早く、そして無駄なく初心者ゾーンを抜ける方法についてです。
扱えるポリゴン数で作って、ワークフローを段階ごとに少しずつ理解する。
これです。
この方法はプロを育成する必要のある現場の研修でもよく使われるようなもので、
メリットは大きく分けて三点あります。
- ポリゴンの調整に惑わされず、ワークフローそのものの理解に注力できる
- 原因の切り分けが容易で、ミスやエラーのカバーがしやすい
- 復習の後で新しい工程を学ぶ形なので、各工程の意味や目的が理解しやすい
3Dを触り始めて最初のうちは、とにかくポリゴンが増えると扱いが大変です。
どれだけ触っても表面がボコボコになってしまったり、
どの段階で生まれたのか分からない謎のエラーに気が付いたり…。
「キャラを作りたい!」と思ってモデリングを始めてみても、
分からないことが多すぎて工程ごとに膨大な下調べが必要に…。
仕事と違い、誰も正解を教えてくれない環境でこれらの状況と戦うのはとても苦しい!
ということで、必要な情報を必要な時に必要なだけ身に着けられるこの方法は、
先輩モデラーの助言を仰ぎにくい制作環境でもとてもオススメなのです。
では導入はこのくらいにして、具体的に何をするのか、どのような効果があるのか、
詳しく見ていきましょう!
上達までの流れ
「扱えるポリゴン数で作って、ワークフローを段階ごとに少しずつ理解する。」
その為に当記事にて行う練習法は、
図に示した工程を必要とするモデルを、それぞれ作成していくというものです。
最初はテクスチャを必要としない小物。
次はテクスチャは必要だけれど、動きはしないアセット。
そして最後に、テクスチャも動きも必要なキャラクターです。
図を確認していただくと、リンゴ→盾→キャラと少しずつ複雑なモデルを作る中で、
必要な工程も増えていっていることが見て取れると思います。
盾ではUV展開とテクスチャリング、キャラではリギングとスキニングといった風ですね。
そして、形状が複雑化すると同時に自由に扱うポリゴン数も増え、
自分でトポロジー(=ポリゴンの流れ)を決定してモデリングを行う必要が出てきます。
先を見通し計画的に制作を進める力と、自由にポリゴンを扱い形を作り出す力。
この二つの力を重点的に鍛えることで、
「そもそも何をどうすればいいのか分からない」「作品がいつまでも完成しない」という、
苦しい初心者ゾーンを一気に抜け出してしまいましょう!
それではここから、それぞれのモデルを作る際に抑えておきたいポイントや、
そもそも「何故これを作るのか?」についてお話ししていきます。
各制作の目標をしっかり把握して、上達を更に早めていきましょうね!
テクスチャの無いモデルを作る
【超入門】今からはじめるblender3.0 ~導入から画像出力まで~
こちらは以前の記事で紹介させていただいた入門講座です!
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チェック!3Dモデル基本のき③ ~モデリングをはじめよう!~
ここまで、3Dモデルとは一体何なのか、どのようなモデルが存在しているのか、 そして、モデリングのためにどのようなソフトが利用できるのかを見てきました。 特に前回は、実際に必要なソフトや、それぞれの特徴 ...
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Blenderの基本操作・簡単なモデリング・マテリアル設定・レンダリングまでを学習でき、
この短時間でしっかりとした画像の出力まで行える素敵な内容となっております。
こちらの講座をオススメさせていただいたのは、
モデルを作りながらBlenderの基本操作に慣れることができ、
何より短時間で一つの作品を完成させられるからです。
そしてこの二つの要素こそが、最初の制作物で触れるべきものなのです。
- ツールの基本操作に少し慣れる
- 短時間で、何か一つ作品を完成させてみる
勿論他のソフトをお使いの方も、公式サイトや動画での紹介を見ながら
同じようなものを作ってみると、操作に慣れることが出来るでしょう!
この時講座と完全に同じようにマテリアルを設定したり、
レンダリングを行う必要もありません。
資料(この場合は講座です)を探し、簡単な形をモデリングして、マテリアルを設定する。
三つの工程を一通り、操作を忘れてしまわないよう短時間で行うことが重要なのです。
動かないモデルを作る
【FBXモデル】ただの木の盾 ver1.00
ツールの操作にも少し慣れたところで、今度は動かないモデルを作りましょう!
ということで気になるお題は…「木の盾」です。
こちらは次回以降で作り方の解説を行う予定ですが、
講座に先駆けてデータをご確認したい方やご自分で制作を進められる方は、
ぜひぜひ上の画像から、配布ページにアクセスしてみてくださいね!
さて、ここでは更にツールの操作に慣れていくと同時に、
新しい二つの工程、UV展開とテクスチャリングに挑戦していきます。
また、この丸い木の盾は、ほとんどの箇所をプリミティブから作り出せます。
プリミティブとはツールが最初から呼び出せる、基本の形のこと。
丸い木の盾なら、持ち手以外は円柱や球を組み合わせて作れそうですよね。
木の盾を選んだのは、この二つの点に絞ってスキルアップするためなのです。
- 動すべき場所がないモノで、より自由にモデルの見た目を作り込む
- プリミティブに少し手を入れてモデリングする
最初の制作で行った簡単なモデリングから一歩踏み出し、
テクスチャを使って更に自由に見た目を作り出す方法も学んでいきましょう!
動くモデルを作る
【VRC 対応3Dモデル】ローポリうさこ2000 ver1.00
無事木の盾を作成したら…お次はこちら。
ローポリキャラクター…の衣装です。
こちらも先にデータをゲットしたい方は、
ぜひ上の画像から配布ページをご確認くださいませ!
blend作業データやUnityパッケージも同梱いたしましたので、
様々な練習にご利用いただけるかと思います!
ここではついに、動くモデルの作成に移ります。
その為に必要な工程である、リギングとスキニングを勉強してみましょう!
しかも衣服のモデルは、円柱や立方体からは簡単には作れなさそうです。
ここで、木の盾より更に自由で、複雑なモデリングを行う必要が出てくるのです。
- モデルを動かすのに必要な工程を知る
- 更に複雑な形状を、自由にモデリングできるようになる
この二点を習得すれば、あなたも脱初心者!
かなりモデリングの自由度が広がりますよ!
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回は素早く上手に脱初心者するための上達法をお伝えしていきました。
まとめるとこんな感じです。
ポイント
- 扱えるポリゴン数で作って、ワークフローを段階ごとに少しずつ理解する!
- 最初の制作では基本操作の習得と短時間での完成を目指す!
- 次の制作では見た目の作り込みと少し難しいモデリングに慣れる!
- 三つめの制作ではモデルを動かす方法と複雑なモデリングを学ぶ!
初心者ゾーンを越えてしまえば、
「これはこうやれば作れるんじゃ?」「この工程のココを調べよう!」
という風に、自分で問題を発見し、解決する力が手に入るのです。
そうなってしまえばこちらのものです!
そこから先は少しポリゴン数を増やして別の衣装を作ってみたり、
キャラクターを一から作ってみたりしても良いでしょう。
モデルの見た目に更にこだわるために、
複雑なテクスチャ作成を行えるツールを探しても良いでしょうし、
モデリング工程の最適化のためにスカルプトを学ぶのも良いかもしれません。
そんな未来設計をしつつ、次回からは基礎トレーニングの時間です!
まずは一緒に、木の盾に挑んでいきましょう!